2025.07.25Publications薬学科卒業生の清水友梨さんが卒業研究で取り組んだ研究成果(電子版お薬手帳を基盤としたPHRを用いた経口薬の取り扱い困難に影響する因子の分析)がScientific Reportsにpublishされました.
薬学科卒業生の清水友梨さんが卒業研究で取り組んだ研究成果がScientific Reportsにpublishされました.
Shimizu Y, Tsuchiya M, Asano M, Imai S, Kizaki H, Ito Y, Tsuchiya M, Kuriyama R, Yoshida N, Shimada M, Sando T, Ishijima T, Hori S*. Analysis of factors affecting difficulty in handling oral medicine using electronic medication notebook-based personal health records. Sci Rep 2025 Jul 24;15(1):26867. doi:10.1038/s41598-025-12249-3.(harmo株式会社との共同研究)論文へのリンク
【論文紹介】
経口薬として広く使用されている錠剤やカプセルですが,一部の患者にとっては取り扱いが困難であり,それが服薬アドヒアランスの低下や健康アウトカムへの影響につながる可能性があります.本研究では,全国規模で展開されている電子お薬手帳harmo®のデータを活用し,経口薬の取り扱いに関する困難さに影響する因子を明らかにしました.成人の経口薬処方患者1,230名を対象にアンケート調査を実施し,個人の健康記録(PHR)と回答を連結して分析を行いました.その結果,全体の24%が「小さい錠剤・カプセルの取り扱いに困難を感じる」と回答しました.13.3mm以下の小型製剤が取り扱い困難と関連しており(ROC-AUC=0.834),ロジスティック回帰分析からは,「手に力が入りにくいと感じること」,「小型製剤の処方」,「高血圧や骨粗鬆症の既往」が有意な関連因子として抽出されました.本研究は,製剤の物理的特性と患者個人の身体的背景が服薬のしやすさに複合的に関与していることを示すものであり,より患者中心の製剤設計や処方の工夫に向けたエビデンスとなることが期待されます.