PHR×薬局 実証研究プロジェクト
ABOUT
近年、電子版お薬手帳をはじめとするさまざまなPHR(Personal Health Record)の普及により、患者さんが日常生活の中で蓄積した情報を健康管理や治療に活かせる環境が整いつつあります。一方で、PHRに対する認知度の不足、医療者のITリテラシーの差、高齢者のデジタルデバイドといった課題も多く、PHRの活用を推進するためには多面的な取り組みが求められています。
特に薬局では、PHRを活用することで、服薬ケアやセルフメディケーション支援、さらには疾患の予防や早期発見、受診勧奨といった多様な薬局機能の質の向上が期待されます。また、電子版お薬手帳のようなPHRアプリは、患者さん・ご家族・多職種間の情報共有ツールとしても有用であり、医療安全への貢献も期待されています。特に、入退院時や在宅・介護施設間といったケア移行の場面では、薬剤管理の円滑化に寄与する可能性があります。
PHRの利活用を促進するためには、地域の実情に応じた市民への啓発や、デジタルデバイドに配慮した支援体制の整備も重要です。本研究では、こうした視点を踏まえ、PHRを薬局におけるセルフケア支援や薬学的ケアの質向上にどう活かすかを検討します。
本プロジェクトでは、薬局におけるPHR活用の実態や課題、ニーズを多角的に調査し、その活用方法を実証的に検討することで、今後のPHRの普及と活用促進に資する方策を提案することを目指しています。
最終的には、薬局が地域の中核的な健康サポート拠点として、PHRを有効に活用しながらセルフケア支援と薬学的ケアの高度化を実現できるよう、患者さんと医療者の双方にとって効果的な活用体制の構築に貢献したいと考えています。
FUNDING
この研究は,厚生労働科学研究費補助金(医薬品・医療機器等レギュラトリーサイエンス政策研究事業「薬局におけるPHR活用方法とその推進に関する実証的研究」(慶應⼤堀里子(代表),松元美奈子(分担),柳澤友希(分担),木﨑速人(分担))の⼀環として⾏われています(令和7-8年度).